社長のひとり言

2月 社長のひとり言 Ⅱ 素晴らしいエッセイ

カテゴリ - 会長のひとり言

倫理法人会のモーニングセミナーでいただいた資料です。 涙が出ました。

北欧での実話です。 前略

雪の降るクリスマス・イブのこと、出産の迫った一人の女性が、友人である宣教師夫妻のもとに急いでいた。 この橋を渡れば、すぐ友人の家という所まで来たとき、激しい陣痛に襲われた。

もう歩けなかった。女は這うようにして橋の下に身を寄せると、凍るような雪の中で、一人の男の子を産んだ。産着も何もなかった。彼女は自分の着ているものを次々に脱いでは、生まれたばかりの赤ちゃんをくるんでいった。赤ちゃんは繭のように包まれた。

翌朝、橋の袂で宣教師の乗った車が故障した。車を降りた宣教師は、微かな子どもの泣き声を聞いたような気がした。橋の下を覗いた彼は、繭のように包まれた嬰児と、傍らですでに冷たくなっていた裸の母親をみつけた。

宣教師夫妻は、男の子を引き取って育てた。

子どもは成長し、自分の母親のことをしきりに尋ねるようになった。12歳になったとき、どうしても生母の墓に参りたいと言い出した。みすぼらしい墓だった。墓は雪に埋もれていた。一人で祈りたいからと、案内してくれた宣教師夫妻を遠ざけると、少年は墓を抱きしめるように雪を払った。そして、自分の着ていた服で墓を包み始めた。一枚一枚脱いでゆく少年の姿に、宣教師夫妻はおろおろしていた。しかし、まさか全てを脱いでしまうとは思っていなかった。

着ていたものを全てで墓を包むと、裸になった少年は、震えながら墓の前にうずくまった。風邪をひいてしまう。宣教師が走り寄ろうとしたとき、少年の泣き叫ぶ声が聞こえた。 「お母さん、僕のために、これよりも、もっと寒かったのですか!」

親が親であり、子が子であることの意味を、悲しいまでに思い知らされるこの話に、私はいつも胸が熱くなります。